3-2 レジリエンスを高める育児法 ~育児と発達心理~


3章 レジリエンス 2節 レジリエンスを高める育児法  ~育児と発達心理~

「自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。自分の苦労を笑い草にしつつ、それから勇気をかきあつめよ。困難を笑い飛ばしながら、それに打ち勝て。」これは人気小説「赤毛のアン」に出て来る言葉です。赤毛のアンはレジリエンスの代表的な人物と言われています。彼女は孤児として不幸な子供時代を過ごして、恵まれていない状況にあったのにも関わらず、賢くて愛情あふれるきちんとした女性に育ちます。彼女は緑屋根の家に住んでいる心が温かい老夫婦の養子となることをきっかけに愛情あふれる環境、いい友達関係、近所との頻繁な交流の中で育つようになります。筆者は彼女が養子になってからの環境が彼女をレジリエンスの高い女性に育てた一番の秘訣だと思っています。それでは、 我が子をレジリエンスが高い子に育てるにはどうすればいいでしょうか?

1.子供が自分の感情を表現できるようにする。(感情コントロールの基盤となります。)

子供は自分の感情を上手く言葉で表現できません。でも、写真や絵を見て自分の感情が肯定的なのか否定的なのか選ばせる事はできます。例えば、日差しが気持ちいい天気の写真、曇りの写真、雨の写真、激しい稲妻の写真、月と星がキラキラ光る静かな夜の写真を見せます。「OOちゃんの今の気持ちに一番近い写真はどれかな?」と聞き、子供に写真を選ばせます。子供がどの天気の写真を選んでもそれをそのまま受け入れてあげましょう。「こんなに悲しいってことなのね。」、「それについてもっと話してくれる?」、「どうしてこういう気持ちになったかな?」などと聞いて、子供が自分の感情について話せるように促しましょう。否定的な感情でもまず共感してあげて、話を聞き、感情に名前をつけてあげる事で、子供は自分の感情を理解する事ができ、やがて感情コントロールにも結び付きます。

2. 相手の感情が読み取れるようにする。(対人関係向上に役に立ちます。)

レジリエンスを高めるには良い対人関係も大切です。まず、子供が他人の気持ちも理解できるように手伝いましょう。本の読み聞かせの時、登場人物の気持ちについて聞いてみましょう。「もし、OOちゃんがこの子だったらどんな気持ちかな?」、「このような行動をしたのはどういう気持ちだったからだと思う?」などと聞くのもいいでしょう。友達と仲良くなる方法について話し合うのも役に立ちます。「OOちゃんはどの子が好き?」、「その理由は何?」、「OOちゃんはどのような友達になりたい?」という質問をすることで、友達と仲良くするためには自分も努力をしなくてはならない事を伝えましょう。他人の状況や気持ちを理解できるようになると対人関係もよくなります。

3. 感謝する気持ちについて話し合いましょう。

多くの神経心臓学によると、心臓拍動と感情は密接な関連性があると主張しています。そこで、研究者たちは心臓拍動を一番理想的に維持させる肯定的情緒が何かを調べました。被験者たちに楽しい事を想像させたり、妄想させたり、何も考えずに休める状況を作ってあげて、心臓拍動を図りました。その結果、もっとも理想的な心臓拍動を維持させたのは感謝することを考えている時でした。このように感謝する気持ちを持つ事は感情と深い関係がある心臓拍動を理想的な状態に維持させると言うのが多くの研究から証明されました。毎日寝る前に子供と3つの感謝することについて話し合いましょう。子供に言わせるだけではなく、その時だけは家族全員が集まり、お互いに感謝することを話し合うのが望ましいです。4人家族でも10分~15分程度しかかからないはずです。これを1ヶ月も続けば本人が気持ちの変化を感じ、3ヶ月続けば、周りがその変化に気づくと言われています。何より、寝る前に子供と感謝することについて話し合う習慣は子供のレジリエンスだけではなく、情緒健康にもいいですし、気持ちのいい睡眠をとる事にもなるでしょう。

 

2020年7月9日 GLE 発達心理学担当 吉田瑞希


About 吉田瑞稀

聖心女子大学(卒) 人間関係学専攻 UCL University of London大学院(卒) MSc in Psychoanalytic Developmental Psychology (修士:精神分析的な発達心理学専攻) 淑明女子大学院 児童心理治療専攻(博士課程終了) プレイセラピスト