「我が子に自分みたいな人生を送って欲しくない」、「自分よりはもっと幸せになって欲しい」と思ってはいませんか?もし、そうであるとしましたら、子育てを見直す必要があると思います。なぜならば、親のセルフエスティームは愛着と同じように世代を受け続き伝達するからです。(詳しくは筆者の「愛着タイプと養育の特徴」をご覧になってください。)つまり、親が高いセルフエスティームを持つと子供も高いセルフエスティームを持つ可能性が高いとのことです。
まず親のセルフエスティームを知るために表1.にMimura & Griffiths (2007)がRosenbergのセルフエスティームを日本語に訳したものを示しました。当てはまるところに書いてある数字をメモをしながらチェックしてみてください。
足した数字が20以下ですとセルフエスティームが低い、25前後ですと平均、30以上ですとセルフエスティームが高いとなっております。
もし、とても低いという結果になった人もまだ落ち込まないで欲しいです。セルフエスティームは確かに根が強く他人によりなかなか変わらないものではないのですが、親が変わると子供のセルフエスティームは必ず変わります。(筆者の「セルフエスティームを高める育児法」を参考にしてください。)
セルフエスティームの日本訳
セルフエスティームの日本訳は辞書で調べると自尊心と訳されています。でも、自尊心とセルフエスティームは決して同じものではありません。(詳しくは、筆者の「セルフエスティームと自尊心は同じもの?」をご覧ください。)しかし、自尊心として訳す人もいれば、自負心として訳して使っている人もいます。最近よく聞くのが自己肯定感ではありますが、これもセルフエスティームと同じ意味で使う人も数多くいます。しかし、筆者はどうしても自己肯定感よりセルフエスティームの方が根強い感じがしてなりません。決して同じとは言えないと思います。なぜならばセルフエスティームは自分を肯定的に捉えるという意味だけがあるのではありません。自分の弱点も含め、ありのままの自分を受け入れる事ができる強さという意味も含まれているためです。それで、心理学の論文では自尊感情という言い方をしています。自分自身を尊重する感情というセルフエスティームの意味が伝わってきます。しかし、筆者はセルフエスティームは人によって様々な言葉に訳されているからこそ、コラムで難しく感じられるかもしれないという事も承知の上、あえて日本語訳をせずにセルフエスティームという言葉を使いました。
本部コメント
教育においてはIQが注目された後、EQが注目されました。EQは自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする知能です。
最近の小学校入試説明会では、IQやEQだけでなく、「やり抜く力」が大切であると述べる校長が増えました。IQやEQと何かを成し遂げる力とは別のものであるという気づきです。小学校入試のときの成績とその後の伸びがあまり相関していないという話を聞きます。アメリカでも学力や知能とは別に何かをやり抜く力の源泉は何かと言う研究がなされてきました。このやり抜く力の源泉の一つが高いセルフエスティーム(自尊感情)です。
self-esteemは発達心理学では「自尊感情」と訳されています。「自尊感情」は「愛着」の形成と関係があると思われます。母と子の健全な愛着の形成はセルフエスティームの強化につながり、セルフエスティームの世代間の相関は、高いセルフエスティームを持つ親の子育てが健全な愛着関係を育むからではないかと思われます。
ミッション系スクールでは、一人一人が神に愛され、認められていること、各自に夫々役割があることを教えます。この様な価値観はセルフエスティームを高めることになるかもしれません。
いずれにせよ吉田先生がまたこの辺のことを触れられるかもしれません。
以上