育児は愛着から ~ 育児と発達心理学講座 ~


2章 愛着 1節

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初めて妊娠した時のこと覚えていますか?初めて目にする超音波写真から我が子を見つけようと必死になってはいませんでしたか?よく探さないと見つからないその小さい点が我が子だと知った時の感動を覚えていますか?しかし、その感動もつかぬ間、迫ってくる出産と育児への不安の嵐が待ち伏せています。そこで、先輩ママ達の経験話に耳を傾け、育児書を読み漁ったお母さんも少なくはない事でしょう。

しかし、残念ながら育児には答えがありません。そして、育児書通りにもいかないのが現実の我が子の育児なのです。しかしながら、どうか不安に思わないでください。まず、我が子と安定的な愛着関係を築くことに力を注ぎましょう。しいて言うなら、それができればまず育児には心配がないと言っても過言ではないでしょう。 愛着がすべての心理的な問題のカギというわけではありませんが、周囲のアドバイスや莫大の育児書に惑わされずに、まず、安定した愛着形成に心がけて欲しいです。

1952年、動物学者であったLorenzは動物観察を通して、ある種の生き物の生存可能性を高める行動パターンを発見します。彼は同僚と共に1975年、ガチョウが生まれた時、初めて見る相手を自分の親だと思い、追従する行動である、「刻印付け(Imprinting)」でノーベル賞を受賞しました。 乳幼児がある特定の人物と親密な関係を持つという愛着理論の第一人者とも言われているBowlbyはこの「刻印付け」というのは 実は人間にも適応「」されると主張し、乳幼児の愛着は実は本能であり、人間の生存可能性を高める事であると述べました。

ローレンツに刻印付けされ、追従するガチョウ達(参考文献:ジョンオクブン(2018)児童発達の理解.ソウル:ハクジサ)

Bowlby は人間にも、Lorenzの「刻印付け」の様にそのタイミングがあると説明しました。それは、出生後3年間とし、その愛着形成の時期を敏感期(sensitive period)と名付けました。また、満3歳までの時期は乳幼児の情緒発達や社会性発達の敏感期でもあるとされています。つまり、この敏感期に養育者と親密な関係を持てたかが子供の情緒発達、社会性発達に大きな影響を与えるというBowlbyの理論は当時、大きな話題になった事でしょう。

親子の愛着形成がどのように子供の情緒発達や社会性に影響を及ぼすかについては次のコラムで紹介したいと思います。

〈GEL事務局より〉
一般的な子育て相談に関しては info@kyouiku-kosodate.com にて受け付けております。


 

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吉田瑞稀

About 吉田瑞稀

聖心女子大学(卒) 人間関係学専攻 UCL University of London大学院(卒) MSc in Psychoanalytic Developmental Psychology (修士:精神分析的な発達心理学専攻) 淑明女子大学院 児童心理治療専攻(博士課程終了) プレイセラピスト