三つ子の魂百まで 乳幼児期の大切さ
多くの教育論を調べると、人の成長にとって乳幼児期が大切なことがわかります。しかし乳幼児期がその後の人生にどのような影響を与えるかについては、ニュアンスがまちまちです。
私は人の成長は、樹が成長するのに似ていると思います。
樹は、種子が発芽して双葉へと育ち、やがて年輪を積み重ねますが、新しい年輪は今までの年輪の外側に形成されます。つまり、樹齢100年の大樹も、その中心には0年から3年の年輪が存在していて、それがその樹の核となるのです。人間の場合は更に顕著で、生まれてから3歳までの生育環境がその人の核を形成し、その後の人格や能力に大きな影響を与えます。正常に形成されなかった人格や能力は、思春期になり社会と接点が必要になるころに、「社会的不適応」として顕在化します。
0歳から3歳ごろまでの時期に、母親の無償の愛を受けて、人に愛されること、人を愛すること、人間の社会化の核を形成します。この時期に劣悪な環境で育った場合は、不登校、引きこもり、愛着障碍、境界性人格障害、不可解な犯罪者などとなって顕在化します。近年頻発する不可思議な犯罪者の乳幼児期の環境を調べると、皆乳幼児期の育ちに問題があると言っても過言ではありません。裕福な家庭であっても対応を誤ると問題が生じます。
「子育てひろば」の『成長の樹』のシリーズでは数回にわたり、乳幼児期の大切さをお話します。女性の社会進出や家庭の貧困化によって子どもが3歳に達しない内に働きに出ることが増えていますが、注意しなくてはいけないことがあります。
0歳~2 歳までの間に母子間(または代わりの人)との「基本的信頼 関係」(愛着)の形成に失敗した場合は、思春期(17歳ごろ)になって、反社会的、非社会的な行動に走る傾向が高い。