幼稚園受験の明暗 失敗のパターンと合格の秘訣


今回は長年幼稚園受験に関わって来た教師の意見を紹介します。少し手厳しいですが、有名幼稚園受験をお考えの方は早めに読まれると参考になると思います。グリーン表示は主催者加筆の部分です。(主催者)


今回は少し厳しい事をお話し申しあげます。

幼稚園受験でご縁をいただけた方と、涙をのんだ方との違いには明らかな共通性があります。受け持ちの生徒はほとんど第一志望に合格いたしましたが、以下は涙をのんだ少数派の事例です。
私がお手伝いさせていただいた中で、最終的には第二志望のところへご入園なさった方は、私から拝見すると、もっと努力が必要な方です。概してお母様は自信をお持ちですが、幼稚園受験を理解してない根拠のない自信です。

準備の期間が短い、受験を軽く見ているという共通性

名門私立附属園の志望園の選択時期と準備期間は、最低でも1年間の準備は必要です。お子様とお母様でお過ごしになられるお時間は大切です。しかし、お子様の年齢・月齢に合ったことを、お子さんがお一人で出来るというお子様自身の自信は、受験ではとても重要です。プロの教師は、お子様が集団の中でお子様が自分自身でやり抜く力を育てます。

以前、私がある受験教室で幼稚園受験を担当しておりました頃、駆け込みで受験年の夏に入会なさる方がいらっしゃいました。そのご家族はそれまでにお母様と必要な事は習得し、最終仕上げとして受験に必要な願書・面接練習のために教室を利用して合格なさいました。その方はお医者様一族であった事と、受験者の祖母が元某幼稚園の教諭だったのです。例外的な事例と言えます。

ある方は何度もお問い合わせをくださいました。その度に熱く志望園を語られ、母子でお見えになられたり、お父様も含めご家族でいらっしゃったり、何度も何度も確認をなさられました。大人であるご両親のお気持ちが固まったのは、やはり受験年の春でした。お子様のご様子は、何度も来ていたお教室でしたので、やっとみんなと出来るのね、とでも言うような笑顔で入室なさいましたが、既に「順番を待つ」ことが出来るお友達の中で、自由勝手に動く姿は、他の子ども達からも不思議そうな表情が窺えました。しかし、お子さんは成長するのです。教室とプロ教師がいる環境で伸びる子に育つのです。問題は大人であるご両親です。4月も過ぎ、間もなくGW になる頃は、いよいよ各園の説明会が始まり、保護者のお洋服他、準備するべき物も揃い始めた頃です。駆け込みの方は、ゆっくりと秋から事細かに私が申しあげた通りご準備なさった方々とは異なり、急いだ感は否めません。そして、何に関しても「軽い」のです。

願書の添削が始まる頃に入会なさった方は、「名門」幼稚園志望でしたが、深夜1時にでも私に携帯メールで添削を依頼してくる方でした。とても美しいお母様でしたが、容姿の美しさ、お子様のかわいさだけでは合格は出来ません。お母様としても品位、所作を重んじる学園を受験するには、成長出来るお子様と共に、お母様も謙虚に熱心に学び変わることが大切です。どなたでも、知らない事ばかりです。だからお教室に通うのです。それを表面的ではなく、受け入れなければ変われません。

変われないお母様は、講評を聞いている際も、こちらから見ていて不安になります。よくうなづきメモを取るようですが、周囲に不調和な声をあげて笑ってみたり、提出物の文面が支離滅裂、稚拙、乱筆であったりします。これでは合格は難しいです。

提出する書面は、その殆どが自筆です。字は上手い、下手はあるかもしれません。でも、丁寧に書いているか、お心がこもっているか。また、早くから学んでいる方はペン習字をなさった方もいらっしゃいました。
お子様を長きに渡り学ばせていただく学園へ、「是非学ばせていただきたい」との思いをお伝えするにあたり、丁寧な文字を書くのは言うまでもありません。

過剰に色々なコースをお取りになる必要はございませんが、経験の必要があるものもございます。私は、一人一人のご家族に必要なオプションをご提案申しておりました。必要なく安定しているご家族には、ご家族で沢山遊び、お父様にも先週と違うお子様の姿を発見しご成長を感じていただく様お伝えしました。しかしながら、最終的にお決めになるのは保護者の方です。「夏は実家に2~3週間帰省したいのでお休みします。」ダメとは申しませんが、夏休み中に準備する必要な事は申しあげました。ただ過ごすのでなく、経験・体験を積み重ねる機会として、意識して過ごさなくてはなりません。

また、普段の指導の中で遅刻も当たり前になると、当日も時間による場面変化についていけません。これでは受験の準備を少ししている事に満足してしまっているだけで、結果につながることはございません。

よく泣くお子様に、いつも玄関で謝っているお母様がいらっしゃいました。私との授業中は本当に良くお出来になるのにお母様のお顔を見たら一気に崩れます。見るも無残に崩れます。お母様と私がお話ししている間にお教室のあちらこちらを開けてみたり、ひっくり返したり、どこかで「子どもだから仕方ない。」という親の思いが見えます。それなりにわきまえる力をつける躾が必要とハッキリお伝えすると、受験を成功したいのでその時は聞き入れてくれた様子ではありますが、結局変わらないので、これも難しいです。泣いているお子様をなだめながらお子様の紺のお洋服についている細かい糸くずを床に落としているお母様。全く、無意識なのでしょう。お子様はそのような振る舞いを知らずしらず真似ます。モデルさんか女優さんかという程の元CAの美しいお母様はお話しを聞きながらもガラスに映るご自分の姿の襟元を直したり、美しい笑顔をチェックしています。元の職業柄でしょうが、カトリックの園には好まれる姿ではないかもしれません。細かく見られているのです。

そして、ギリギリご準備にいらっしゃる方のお言葉の中に「記念受験で」とうかがった場合は、私ははっきりとお断りを申しあげました。受験はそんなものじゃないのです。そして、その様な予防線を張られた方が、ご縁のなかった時に号泣なさる姿も見かけます。そして、最後にもう一度予防線を張るのです。「あんなにがんばった子どもがかわいそう。」そうなのです。お子様はがんばりました。ご自分を変えられなかったのはお母様の方なのです。

大切な願書も、何度も何度も変わる方。志望動機も変わってしまい、ご家庭の教育方針に関しましては、色々なところから引っ張って来たかの様に、最初の物とは大きく変わり、最早教育方針って何でしょうとなってしまう方、もちろん、難しいですね。

子どもは一年かけてゆっくりと定着してまいります。ご成長なさいます。この一年間は
大人である保護者様は、集中してその後のお子様の教育をお願いする園、学校に通うべく学びをし、自分を変えて行くとても大切で濃いお時間なのです。

保護者の方の準備が不十分である場合が多いのです。ですから、お教室のみならず学びの機会として、セミナーなどにも出席して、真剣に取組む事で大切な引出しを作る準備となります。
わからないことをわからないままにせず、学んだ事は、ノートの文字に残すだけでなく実践し、是非、充実し達成感ある一年をおすごしくださいませ。(T.Y.)


以下 主催者のコメント

幼稚園受験の合格の秘訣

  • 受験準備のため一年以上教室に通う。また、子育てに関しての正しい情報をお子様が乳児のときから持ち、健全な愛着形成→年齢・月齢に合った自立・自律性の形成を行うこと。(詳しくは別途述べます)
  • 願書・面接対策をしっかり行うこと。有名幼稚園受験においては、どの様なご家庭であるかという要素が大切です。これは、親の社会的な立場とかの問題ではなく、ご両親がどの様な価値観を持ち、どの様な日常生活を送り、どの様な子育てを行い、受験する幼稚園や学校を実際理解しているかが問われるのです。幼稚園受験において願書・面接の比重は大きいのです。
  • 願書・面接指導のおいては両親の大切にしている価値観の明確化→子どもに期待する将来の人間像→教育方針→子育ての方針の順に整理・確認し、同時に受験幼稚園に対する理解の確認を行います。また、各家庭の味を引き出すためには一律の指導はできません。また、全ての受験指導教師が高いレベルの指導ができる訳でもありません。形式的な指導と指摘はできますが、受験幼稚園側に感銘を与えられるまでは到達しにくいのです。なにしろ、幼稚園側は長年のプロですから底が浅い場合はすぐに見抜いてしいますし、ご両親の知的レベルも非常に高いので、その方たちを有効に指導することができる人は極めて少ないのです。
  • 私の長年の経験において、毎年各教師から依頼されたご家庭の願書・添削を担当致しましたが、願書・面接双方を担当した場合、自分でも不思議でしたが、記憶の限り、カソリック系有名幼稚園に関し、ほぼ全員が合格しました。例外は、親が幼稚園とどうしても相性が悪かった一件でした。しかし、この方は別の有名幼稚園に合格されました。また、幼稚園側に願書を提出されたのちに面接指導した場合、すでに出した願書を面接でリカバーできないので、上手く行かないことが多いのです。
  • 「子育てひろば」は、無料のサイトですので、無料にて願書・面接指導を受けることもあります。しかし、教育観のことなる幼児教室に通われている場合はお受けできません。

(サイト運営者 安藤 徳彰)


About 安藤徳彰

(あんどう のりあき) 慶應義塾大学卒業後、ペンシルバニア大学大学院(ウォートンスクール)にてMBA取得。 ICE幼児教室、ICE私立専門塾などを創業。2014年6月に教育部門の運営を栄光グループにバトンタッチし、株式会社栄光の教育顧問に就任。 2015年10月に株式会社栄光顧問退任