人格形成とセルフエスティーム(4高)


ハーバード大学のジョセップ教授は「セルフエスティームは、成功するのに必要な要素の一つである。」と主張しました。環境にあまり影響されず、自分を信じ、ありのままの自分を受け入れることができるセルフエスティームは、万が一失敗したとしてもその挫折感は軽いはずです。つまり、失敗にめげない事はトコトン挑戦し続けるエネルギー源となり、数多い挑戦は成功する確率をも上げるわけです。要するに、セルフエスティームがその人の人生に大きくかかわっていると言えるでしょう。

それでは、高いセルフエスティームはどのような人格形成に影響を及ぼすのでしょうか? セルフエスティームが人格形成に様々な良い影響を及ぼすことは言うまでもありません。ここでは、その中で大事と思われる4つの心理要素を紹介したいと思います。(昔、結婚相手選びに3高を大事にしていましたよね。ここでは、それと同じように人格形成に大事な心理要素を4高と名付けたいと思います。)

1. 高い共感能力

セルフエスティームとは自分をありのまま受け入れ、自分を信じる事ができることであります。自分を肯定的に捉える事ができる人は、心にゆとりがあって、優しくなります。優しい人は他人の失敗や過ちに厳しく叱るのではなく、理解しようと努めます。つまり、共感能力が高くなるのです。AI時代が来たとは言え、心から共感する事はロボットにはできません。これからの時代に共感能力の強い人はますます必要とされるに違いありません。

2. 高いリーダシップ

高い共感能力を持っている人は高いリーダシップを生み出します。リーダーシップとは皆の意見を聞き、尊重し、まとめる事ができ、また良い結論に導く事であります。高い共感能力の人は他人の気持ちを理解できるため、他人の意見も尊重します。ですから、時には相手の気持ちになり相手が望んでいる事を把握し、自分の意見とうまくまとめ、多数が満足できるような結論を出します。このような高い共感能力は結局高いリーダーシップを結ぶのです。

3.高い学習目標志向

高いセルフエスティームの人は失敗を恐れずに挑戦し続ける強さもあります。つまり、難しい問題に待遇し、間違えても挫折するのではなく、むしろ、間違えた原因を探り、解決するために力を注ぎます。このような行動は肯定的な結果を導くことができるのです。また、目標を立てそれに向かって全力で努力する行動は、高い目標志向を持つことになります。Phillips & Gully(1997)は、学習目標志向は個人の能力の向上のため学習量を増加させるきっかけになると報告しています。1 学習量が増えると学業成就の可能性も高まります。

4.高い社会性

我が子が自分を信じ、受け入れる事ができる高いセルフエスティームの持ち主ですと、常に肯定的な考え方をし、明るく振る舞うことができるため、友達と円満に相互作用することができます。友達関係が円満ですと、友達と関わる機会が増え、社会性を学ぶチャンスも増えるのです。高い社会性は社会人に必要とされるのは言うまでもないですが、児童の学校での適応のためにも大変重要です。

このように高いセルフエスティームは生きていくために必要とされる心理要素の向上の基本となります。加えて、高いセルフエスティームは、うつ症状の軽減、問題行動減少、そして過度な承認欲求を防止する働きもします。ネットで他人に認められたいがためにSNSに写真などを載せ、「いいね」を押してもらうように執着することは過度な承認欲求の一つであります。セルフエスティームは他人ではなく、自分が基準であるため、承認欲求が過度に強くはなりません。筆者は承認欲求が低すぎるのも問題だと思いますが、高すぎるのも自分と他人を苦しめ、その結果、セルフエスティーム形成に悪い影響を及ぼすことになるので、悪い状況の繰り返しになり兼ねません。SNS時代になったからこそ、他人に基準を置くのではなく、自分に基準を置く根強いセルフエスティームが必要とされると思います。


出典:

  1. Phillips, J.M., & Gully, S.M.(1997) Role of Goal Orientation, Ability, Need for Achievement and Locus of Control in the Self-efficacy and Goal-setting Process. Jounal of Applied Psychology, 82, 792-802

吉田瑞稀

About 吉田瑞稀

聖心女子大学(卒) 人間関係学専攻 UCL University of London大学院(卒) MSc in Psychoanalytic Developmental Psychology (修士:精神分析的な発達心理学専攻) 淑明女子大学院 児童心理治療専攻(博士課程終了) プレイセラピスト